《「勉強会」便り》6
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設問20の旧約聖書の正典46文書について:今日の日本の教会では、ミサで朗読される聖書をはじめ、カトリック出版物で引用される聖書はほとんどすべて「新共同訳聖書」である(例外はミサ中の答唱詩編で、これは典礼委員会訳が使用されている)。この新共同訳聖書から、教会の教える旧約聖書の正典46を正しく選び出すことができる信徒は、あまりいないのではなかろうか。新共同訳聖書の目次を見ると、旧約聖書に39、旧約聖書続編に13、合計で52の文書が載っている。 教会が旧約聖書の正典は46と教えているのであるから、「新共同訳聖書」はカトリック教徒も「利用できる」聖書ではあっても、カトリック教会の聖書ではないことを忘れてはならない。
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旧約聖書の正典をカトリックでは46、プロテスタントは39としている。この違いは、カトリックがギリシャ語の七十人訳聖書に基づいていているのに対し、プロテスタントはヘブライ語聖書を基準にしていることによる。このように聞けば、一見、プロテスタントの方に言い分があるように思えるが、次の事実を忘れてはならない。原始キリスト教会の聖書は七十人訳聖書であった。だから、新約聖書における旧約引用は主として七十人訳によっている。実際、新共同訳聖書の末尾にある付属の「新約聖書における旧約聖書からの引用箇所一覧」を見れば、そのことがよく判る。この一覧でLXXの印がついている所は、七十人訳聖書にしか出ていないことを示している。七十人訳聖書なしには、新約聖書は成り立たないのである。(旧約聖書の正典について、別欄の「新共同訳聖書(旧約)とカトリック教会の旧約聖書」を参照下さい。)
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