カトリック 夙川教会
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 プロフィール

 

 1865年3月17日 長崎大浦天主堂でキリシタンが発見されて以来、日本人の信教の自由が徐々に回復してゆく中で、フランスから渡来した宣教師たちは神戸、大阪の外国人居留地を中心にミッション活動を始めていました。彼らは月に一度、神戸と大阪を東と西に向かって徒歩で出発して夙川あたりで落ち合い、お互いの活動を報告しあって一日を過ごしたと云います。明治末から大正にかけて、大阪や神戸の市街地から離れた郊外住宅地が各地に造成されるのを見て、宣教師たちは次の新しい教会を阪神間に建てようと考えます。

 1921年(大正10年)、パリ外国宣教会のブスケ神父は札場筋にあった20坪の家を借り、2階を聖堂にして11月に初ミサを捧げ、「聖なるロザリオの教会」と命名しました。これが夙川教会のはじまりです。2年後に神父は現在地に土地を購入し、神戸居留地にあった「悲しみの聖母教会」の旧建屋を移設して仮聖堂とし、本格的な聖堂の建設計画に取り組み始めました。写真のピエタ(「悲しみの聖母」の木彫り)は居留地の聖堂入口の上に掲げられた飾り(タンパン)で、2007年に当教会の信徒の手によって修復を終えました。

 ヨゼフ梅木省三氏の設計になるネオ・ゴシック様式の聖堂が1932年(昭和7年)4月に完成します。新聖堂はブスケ神父が敬愛してやまなかった聖テレジアに献げられ、以後夙川教会は「幼きイエズスの聖テレジア教会」と呼ばれています。1945年から1963年まで大阪教区の臨時司教座聖堂としての役割を果たしました。

 1995年(平成7年)1月の阪神淡路大震災で大きな被害を受けましたが幸いにも倒壊を免れ、2012年(平成24年)9月には耐震・改修工事が完了し、夙川のシンボルとして壮観な外観とともに、美しいステンドグラスや鐘の音が人々に心の安らぎと祈りの場を提供しています。祭壇奥のアルコーブに聖テレジア像がおかれ、右には聖テレジアと建堂当時の信徒の子どもたち、左にロザリオを手にした聖母子と聖ドミニコのステンドグラスが配されています。聖堂および鐘楼の歴史的、文化的な価値が評価され、2009年に「西宮市都市景観形成建築物」、2012年には「兵庫県景観形成重要建築物に指定されました。

 夙川にゆかりのカトリック作家としては遠藤周作と須賀敦子がいます。この教会は遠藤少年が母に連れられてキリスト教という西洋仕立てのぶかぶかの洋服を着せられるに至った場所として彼の作品にしばしば描かれ、遠藤文学の原点といわれています。須賀敦子は小林聖心で早くに洗礼を受けた後、一筋の道を求めてフランスへ旅立ちました。敦子の感性が共鳴したのはイタリアで、日伊の作家を相互に翻訳する忍耐強い仕事は文学における日伊の架け橋となりました。明晰・静謐・澄明なその文体は、古き良き夙川を彷彿させます。

  カトリック夙川教会のあゆみを動画でご覧いただけます
 
 2011年に修復された夙川教会のカリヨンの音を動画でご覧いただけます(ナレーションあり)
 2011年に修復された夙川教会のカリヨンの音を動画でご覧いただけます(ナレーションなし)
 
 年 表
1921年 大正10年 10月1日 兵庫県武庫郡西宮町札場筋の清友倶楽部を借用し夙川教会発足
阪神間初のカトリック教会となる
11月8日 初代主任司祭 S.ブスケ神父の初ミサ
「聖なるロザリオの教会」と命名
1923年 大正12年 8月9日 現在地に地所を購入し移転 仮聖堂建立
1932年 昭和 7年 4月17日 新聖堂建堂 祝別式
「幼きイエズスの聖テレジア教会」と命名
1933年 昭和8年 10月 ブスケ神父 関目教会に転任
第2代主任司祭 永田辰之助神父 着任
1937年 昭和12年 8月29日 永田神父 ミサ中に倒れ翌日帰天
10月1日 第3代主任司祭 メルシエ神父 着任
1941年 昭和16年 1月6日 聖堂献堂式
1943年 昭和18年 3月10日 2月16日に北野教会から憲兵隊に連行され拷問を受けていた
ブスケ神父 殉教
1945年 昭和20年 6月 夙川教会 臨時司教座聖堂となる(〜1963年3月)
8月15日 終戦
8月16日 5月7日から憲兵隊に連行されていたメルシエ神父が解放され帰還
1949年 昭和24年 3月10日 ブスケ神父の棺を服部霊園から満池谷墓地に移葬 追悼ミサ
1952年 昭和27年 4月22日 メルシエ神父 三田教会に転任
第4代主任司祭 西村良次神父 着任
1957年 昭和32年 4月21日 聖堂建設25周年記念ミサ
1968年 昭和43年 12月8日 信徒会館落成
1971年 昭和46年 10月24日 夙川教会創立50周年記念ミサ
1979年 昭和54年 4月 西村神父 笠田教会に転任
第5代主任司祭 岸 英司神父 着任
1981年 昭和56年 11月8日 夙川教会創立60周年(献堂50周年)記念ミサ
1989年 平成元 4月 岸神父 芦屋教会に転任
第6代主任司祭 傘木澄男神父 着任
1995年 平成7年 1月17日 阪神淡路大震災で聖堂が甚大な被害を被る
一時地下聖堂で主日のミサを行う
4月 傘木神父 宝塚教会に転任
第7代主任司祭吉中 恒神父 着任
2002年 平成14年 4月 吉中神父 藤井寺教会に転任
第8代主任司祭 J.P.ベズロン神父 着任
2004年 平成16年 3月 ベズロン神父 東京神学院に転任  
4月 第9代主任司祭 三竹洋一神父 着任
    5月21日 三竹神父 サバティカルのため退任 
2006年 平成18年 8月6日 第10代主任司祭 梅原 彰神父 着任
2009年 平成21年 6月1日 西宮市都市景観形成建築物に指定
2010年 平成22年 4月 ミシェル・コーナン神父 叙階50周年 
2011年 平成23年 10月29日 信徒有志の手によりカリヨンの修復なる
2012年 平成24年 3月30日 兵庫県景観形成重要建築物に指定
10月21日 聖堂の耐震・改修工事竣工、創立90周年・献堂80周年記念ミサ
2015年 平成27年 4月 梅原 彰神父 叙階50周年 
 
 2017年7月9日 更新